江戸城石垣のふるさとを訪ねて!(宇佐美江戸城石丁場遺跡)

本日休み。いまだ風の冷たさを感じつつも日差しには確かに春の気配が感じられます。
「冬来たりなば春遠からじ」残りの寒さを気合いで乗り切るぞ!


さて先日、といってももう1週間も経ってしまいましたが、2月17日(日)に伊豆の伊東市で開催されました「宇佐美江戸城石丁場遺跡」見学会に参加してまいりました。


私、今さら言うまでもなく江戸城の石垣に深い愛情を持っております。その理由はここで説明すると全く別の話となってしまいますので省略しますが、天気の良い日には、皇居ランナーの方々に「邪魔だよ視線」を送られながらも、せっせと楽しげに撮影に勤しんでおります。

そんな私にとってこの石垣、いや石たちのふるさとである伊豆、および瀬戸内はとても気になる場所であり、是非とも訪れたい土地でありました。
城郭は相当数まわってきましたので、次は石たちのふるさと訪問かな、と思っていたところで見つけたのが「NPO法人 宇佐美江戸城石丁場遺跡保存会」のホームページ。


すばらしい!こんな活動を地元の方々がやっていたことに感動しつつ、拝見していたところ、何と1週間後に見学会が行われるとの告知が!
これは願ったり叶ったり、渡りに舟といったことで、後輩のきよすみくんと共に現地見学会へと参上したわけです。


宇佐美を訪ねたのは初めてだったのですが、街の各所に江戸城石丁場遺跡から運ばれた「刻印石」が展示されており、街ぐるみでこの活動を進めていることが伺えます。


折敷に三の字(豊後臼杵藩稲葉家のものと言われています)


丸に十と一の字(伊予松山藩松平家のものと言われています)



集合場所へ向かうと年配の方を中心に小学生まで幅広い年齢層の方々が集まり、今や遅しと出発を待ちわびています。
ガイド役の保存会の方による事前説明の後、現地へと出発!
まずは伊東市の指定文化財となっている「史跡 江戸城石丁場遺跡」へと向かいました。
街場から緩やかな坂を登りつつだんだんと山側へ向かう我ら一行。そしてしばらく歩くとそこには・・・

なんということでしょう!とつぜん江戸城でもお馴染みの「安山岩」の塊が、沢沿いにゴロゴロとしているではありませんか!
しかも加工前の石から矢穴があけられた状態の石、そこから割られた石、そしてほぼ成形され石垣用のパーツになった石、中にはそこにしっかりと採石した担当者の「刻印」が彫られたものまで・・・。


矢穴とともに矢筈の刻印が刻まれています(豊後佐伯藩毛利家のものと言われています)


丸に二引両の刻印(まだ詳細は不明のようです)


丸に十の字(もちろん島津家!といいたいところですが、この辺りには島津家の石丁場はなかったようです。詳細は不明とのこと)



すばらしいです!この遺跡ひとつだけで、自然石が江戸城の石垣用のパーツに加工されていく流れがほとんど見られるわけですから。
我が愛する江戸城の石垣はこのようにして大きく育ったんだねぇ〜。
なぜか、愛する人の実家に赴き、ご両親に挨拶を済ませた心持ちさえしてきます!?
ここがあなたの育ったふるさとなんですねぇ〜。わざわざ時間作って参上したかいがあったというものです!


と何だかへんてこなテンションで丁場の石たちを次々と撮影。これは築塁の様子を考えるうえでも参考になります。
もちろん保存会の方々には、場所場所で、とても貴重な話のをうかがうことができました!
内容はもちろん、ヒ・ミ・ツ!ぜひ現地に足を運んで欲しいからですよ!


「史跡 江戸城石丁場遺跡」の次は地元の方々が「卍谷」と呼んでいる遺跡へと移動。
これは地元の人の案内が無いときついですね。ちょっとした山城なみの道です。


そしてやはりしばらくすると山肌に巨石がゴロゴロ。

しばらく歩き、谷あいのところにこれまたたくさんの石がゴロゴロ。ここが「卍谷」と呼ばれる場所です。
「卍谷」と言うだけに「卍」の刻印が彫られた石がたくさん確認できます。



もちろん刻印石も。



といった感じで今回の見学会は終了!私たちは帰路別コースの入口まで確認するために一行から離脱。
その後、稲取の方に向かったのですが、そこでのお話しはまた後ほど。


このように、素晴らしい江戸城石丁場初体験を終えることが出来ました。
今回の見学会で再認識したことは、やはりこのような山中にある石丁場遺跡については地元の方の案内が不可欠であるということ!
また草が枯れ、ヘビなどが出ない冬場にこそ、石丁場へはいくべきであること!このへん、認識不足でした。


このような貴重な遺跡がこれからも地元の方々によって守られ伝えられることを願ってやみません。
そして私は後輩きよすみくんと共に再度周辺の石丁場遺跡をまわること(もちろん保存会の方に案内していただきながら!)を深く誓うのでした・・・。




蜜柑なる 豊かな石の 郷たずぬ