二条城、一日城主の巻

本日休み。急に寒くなってきたなあと思ったら、もう11月も下旬にはいっていました。
寒いのも当たり前ですね。
今年は夏の猛暑だけでなく、10月くらいにもかなり暑い日々があったこともあり、秋をちゃんと味わう前に冬が来てしまったような感じがしています。


さて、前回の記事で、このところあちこち訪問しているということだけはお伝えしておりました。
そのなかに、「彦根、大阪、京都」といった地名がはいっております。
このときは京都の二条城への登城をメインとした旅でした。

11月8,9,10日にかけて訪れたのですが、この時期の京都はものすごい観光客であふれかえっております。
ホテルもほとんどが部屋代を高めに設定しており、よほど以前から予約していない限り、京都市内での宿泊なんて考えられません。

本来はゆっくり、じっくりと城郭や寺社、史跡などを見て回ることを好む私が、なぜ敢えてこんな時期を選んで京都にいったのか?


それは、二条城の「一日城主」に選ばれたからであります。
なぜ選ばれたのか?まずはその経緯からご紹介いたしましょう。


現在、二条城では、国宝・二の丸御殿をはじめとする文化財建造物等の本格修理が進められております。
今回の本格修理は、1603年徳川家康による築城以来の大修理なのだそうで、ということは多大な年数、そして資金が必要になってきます。
そのため京都市では、“世界遺産・二条城一口城主募金”を募っているのです。

歴史を愛し、城を愛するまるこうとしては、こういう話をきくと心が動かされます。
ということで、以前、二条城に訪れた際に、わずかではありますが募金をして参りました。

で、一口城主になると、特典が得られます。
その特典の1つが、一日城主になるための抽選権なのです。
一万円につき一口が与えられることになっておりまして、抽選は半年に一回。
選ばれるのは10組だけという、なかなかに狭き門。


もちろん私は一万円しか募金しておりませんので、一日城主に選ばれるなんて、まったく想像もしておりませんでしたし、そもそもそんなことすっかり忘れていました。


そんなある日、二条城の事務所より、一通の封書が送られてきました。
なかには、一日城主に選ばれたとの通知が!
かくして私、まるこうは、後輩を御供に引き連れて、二条城へ登城したのであります。


さて当日。
天気もよく、秋を感じさせるさわやかな気候。
否が応でも気分は高まります。

一日城主の“登城日”は複数用意されているのですが、今回の「一日城主」様は私たちを含めて3組6名。
この6名のために、多くの職員の方が各所でさまざまなサービスを施してくださいました。
これぞまさに「殿様気分」であります。


当日の「御次第」は以下の通り。


一、二の丸御殿 御昇殿(車寄から)
一、二の丸御殿大広間一の間 御着座
一、二の丸庭園 御周遊
一、清流園和楽庵にて御一服
一、二の丸御殿 御昇殿(黒書院縁側から)
一、二の丸御殿黒書院一の間 御着座
一、二の丸御殿黒書院から二の丸庭園御鑑賞
一、二の丸御殿黒書院にて記念撮影
一、障壁画模写室内 御見学


そう、なんと大政奉還が諸大名に告げられた大広間の御座への着座だけでも恐れ多いのに、黒書院にまで着座できるのです!
こんな格の高い空間、もちろん一般の方は入室できません。
まさに城主であればこそ、足を踏み入れることができるのです。
もうこの次第をみただけで、私、震えがきました。


職員の方のご案内のもと、まずは唐門へ。

修復がなされたばかりで、色合いも鮮やか。
こういうところに募金がつかわれているのですね。


以下、時系列に沿いながら写真を中心にご紹介していきましょう。


お庭。これも普段は入ることのできない旧行幸御殿側からのルートでした。
通常であれば撮影できない角度からも写真撮影できましたよ。

こちらは一服いただいたあと、茶室から上様気分で撮影。


ここからはいよいよ黒書院へ。

障壁画は保存のため模写ですが、一流の日本画家の手になるもの、さすがのすばらしさです。


御帳台構の足でまたぐ場所には、葵御紋ではなく、裏紋(別紋)の六葉葵があしらわれています。

飾り金具や天井もすばらしい〜!


夢のような時間はあっという間に過ぎていきます。
すべての行程を終えたころには、一般の見学時間はもちろん超えておりました。
そのため東大手門も閉まっていたのですが、我々が出るときに再び開けられ、東大手門より下城いたしました。


以上、ほんの一部ではございますが、一日城主としてみてきた二条城の様子を紹介させていただきました。
(撮影した写真をブログ等で公開することについては、問題がないということを確認してあります)
こんな機会、めったなことではありません。
ほんとうに貴重な体験でした。


そして何より、休日にもかかわらず私たち一日城主のために、たくさんの職員の方がサポートしてくださいました。
その「おもてなし」に、いたく感動させられました。
こうした人たちの日々の努力と、文化を愛する多くの人たちによってなされてきた募金が、二条城を未来へとつないでいくのです。
なお今回の大修復には全体で100億円が必要であり、そのうち50億円は京都市が負担することになっておりますが、その一部を募金でまかなう予定だとのこと。
こうした「特典」があたるかもしれませんし、みなさもぜひ、募金してくださいね。


そして、ほかの城郭でも、こうした募金活動はなされております。
機会を見つけて、自分のできる範囲での募金を、これからも続けていきたいと思います。




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